ディラックのデルタ関数

\(x=a\) のときに \(\infty\)、それ以外で \(0\) となり、

かつ \([-\infty,\infty]\) で積分したときに \(1\) となる関数を「ディラックのデルタ関数」と呼びます。

すなわち、ディラックのデルタ関数は次の \(2\) つの式で定義されます。
\begin{alignat}{2}
&(A)  δ(x-a)=
\begin{cases}
∞ (x=a)\\
0  (x≠a)\\
\end{cases}\\
&(B) \displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} δ(x-a)dx=1\\
\end{alignat}

また、以下の公式が成立します。ただし、全て \(a \gt 0\)
\begin{alignat}{2}
&(1) xδ(x)=0\\
&(2) δ(ax)=\frac{1}{|a|}δ(x)\\
&(3) δ(x^2-a^2)=\frac{1}{2a}\{δ(x-a)+δ(x+a)\}\\
&(4) xδ(x-a)=aδ(x-a)\\
&(5) f(x)δ(x-a)=f(a)δ(x-a)\\
&(6) \displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} f(x)δ(x-a)dx=f(a)\\
\end{alignat}









<証明>

\((1)\) デルタ関数において \(a=0\) のとき
\begin{alignat}{2}
&δ(x)=
\begin{cases}
∞ (x=0)\\
0  (x≠0)\\
\end{cases}
\end{alignat}これに \(x\) を掛けることで
\begin{alignat}{2}
&xδ(x)=
\begin{cases}
∞ \cdot x=0  (x=0)\\
0         (x≠0)\\
\end{cases} 
\end{alignat}よって \(x\) の取る値によらず$$xδ(x)=0$$







\((2)\) \(x=0\) のとき、デルタ関数は次のように書けます。$$\displaystyle\lim_{x \to 0} δ(x)=\displaystyle\lim_{x \to 0} \frac{1}{|x|}=\infty$$この式において \(x\) を \(ax\) にすると$$\displaystyle\lim_{x \to 0} δ(ax)=\displaystyle\lim_{x \to 0} \frac{1}{|ax|}=\frac{1}{|a|}\displaystyle\lim_{x \to 0} \frac{1}{|x|}=\frac{1}{|a|}\displaystyle\lim_{x \to 0} δ(x)$$すなわち$$\displaystyle\lim_{x \to 0} δ(ax)=\displaystyle\lim_{x \to 0} \frac{1}{|a|}δ(x)$$以上より$$δ(ax)=\frac{1}{|a|}δ(x)$$(これは \(x≠0\) のときも成り立つ。)







\((3)\) \(δ(x^2-a^2)=δ\{(x-a)(x+a)\}\) であり、これは
\(x= \pm a\) で \(\infty\)、それ以外で \(0\) となる関数だから
\(x-a=t, x+a=s\) とすると \((2)\) を用いて

\(x=a\) のとき$$δ(2at)=\frac{1}{2a}δ(t)=\frac{1}{2a}δ(x-a)$$\(x=-a\) のとき$$δ(-2as)=\frac{1}{|-2a|}δ(t)=\frac{1}{2a}δ(x+a)$$

\(δ(x^2-a^2)\) はこれらの和であるので、以上より$$δ(x^2-a^2)=\frac{1}{2a}\{δ(x-a)+δ(x+a)\}$$








\((4)(5)\) 次のようにデルタ関数を表します。\((r \gt 0)\)
\begin{alignat}{2}
&δ_r(x-a)=
\begin{cases}
\displaystyle \frac{1}{2r} (a-r \leq x \leq a+r)\\
0  (x \lt a-r, a+r \lt x)\\
\end{cases}
\end{alignat}このとき \(r \to 0\) とすれば$$\displaystyle\lim_{r \to 0} δ_r(x-a)=δ(x-a)$$が成り立ちます。

上記の式に \(f(x)\) を掛けます。
\begin{alignat}{2}
&f(x)δ_r(x-a)=
\begin{cases}
\displaystyle \frac{1}{2r}f(x) (a-r \leq x \leq a+r)\\
0  (x \lt a-r, a+r \lt x)\\
\end{cases}
\end{alignat}\(r \to 0\) とすれば
\begin{alignat}{2}
&f(x)δ(x-a)=
\begin{cases}
\displaystyle\lim_{r \to 0} \frac{1}{2r}f(a)  (x=a)\\
0          (x≠a)\\
\end{cases}
\end{alignat}これは次のように書けます。$$f(x)δ(x-a)=f(a)δ(x-a)$$
また \(f(x)=x\) とすれば$$xδ(x-a)=aδ(x-a)$$が成り立ちます。








\((6)\) 前問の \(δ_r(x-a)\) を用います$$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} f(x)δ_r(x-a)dx=\displaystyle\int_{a-r}^{a+r} f(x) \cdot \frac{1}{2r}dx=\frac{1}{2r}[F(x)]_{a-r}^{a+r}=\frac{F(a+r)-F(a-r)}{2r}$$\(r \to 0\) とすると
\begin{alignat}{2}
&\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} f(x)δ(x-a)dx=\displaystyle\lim_{r \to 0} \displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} f(x)δ_r(x-a)dx\\
&                 =\displaystyle\lim_{r \to 0}\frac{F(a+r)-F(a-r)}{2r}\\
&                 =\displaystyle\lim_{r \to 0} \frac{1}{2}\left\{\frac{F(a+r)-F(a)}{2}+\frac{F(a)-F(a-r)}{2}\right\}\\
&                 =\frac{1}{2}\{f(a)+f(a)\}=f(a)\\
\end{alignat}以上より$$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} f(x)δ(x-a)dx=f(a)$$

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