逆行列(2次正方行列)

逆行列とは「ある行列に別の行列を掛けて単位行列にする行列」のことです。

逆数は「ある数に別の数を掛けて \(1\) にする数」なので、

逆行列は「逆数の行列バージョン」ということになります。


すなわち、次式を成り立たせるような行列 \(X\) を行列 \(A\) の逆行列と呼びます。$$AX=XA=E  (X=A^{-1})$$\(A=\begin{pmatrix}a & b\\c &d \end{pmatrix}\) とし、 \(\mathrm{det}\,A=ad-bc\) と置くと

\((α)\) \(\mathrm{det}\,A=ad-bc=0\) のとき、\(A^{-1}\) は存在しない。

\((β)\) \(\mathrm{det}\,A=ad-bc≠0\) のとき、\(\displaystyle A^{-1}=\frac{1}{\mathrm{det}\,A}\begin{pmatrix} d & -b\\ -c & a \end{pmatrix}\)











<証明>

\(AX=E\) を満たすような行列 \(X\) を求めます。

\(A=\begin{pmatrix}a & b\\c &d \end{pmatrix}, X=\begin{pmatrix}x & z\\y & w\end{pmatrix}\) と置きます。$$AX=\begin{pmatrix}a & b\\c &d \end{pmatrix}\begin{pmatrix}x & z\\y & w \end{pmatrix}=\begin{pmatrix}ax+by & az+bw\\cx+dy & cz+dw \end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1 & 0\\0 &1 \end{pmatrix}$$となるので \(4\) つの式を得ます。

\begin{cases}
ax+by=1  \cdots (A)\\
cx+dy=0  \cdots (B)\\
az+bw=0  \cdots (C)\\
cz+dw=1  \cdots (D)\\
\end{cases}
\((β)\) \(\mathrm{det}\,A=ad-bc≠0\) のとき

\((A) \times d-(B) \times b\) を計算すると$$(ad-bc)x=d,  x=\frac{d}{ad-bc}$$\((A) \times c-(B) \times a\) を計算すると$$-(ad-bc)y=c,  y=-\frac{c}{ad-bc}$$\((C) \times d-(D) \times b\) を計算すると$$(ad-bc)z=-b,  z=-\frac{b}{ad-bc}$$\((C) \times c-(D) \times a\) を計算すると$$-(ad-bc)w=-a,  w=\frac{a}{ad-bc}$$
よって$$X=\begin{pmatrix}x & z\\y & w\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\displaystyle \frac{d}{ad-bc} &\displaystyle -\frac{b}{ad-bc} \\\displaystyle -\frac{c}{ad-bc} &\displaystyle \frac{a}{ad-bc}\end{pmatrix}=\frac{1}{ad-bc}\begin{pmatrix}d & -b\\-c & a\end{pmatrix}$$以上より

\(\mathrm{det}\,A=ad-bc≠0\) のとき$$\displaystyle A^{-1}=\frac{1}{\mathrm{det}\,A}\begin{pmatrix} d & -b\\ -c & a \end{pmatrix}$$


また \(\mathrm{det}\,A=ad-bc=0\) のとき

行列 \(A\) は「零行列では無い」ので \(a=b=c=d=0\) と矛盾する。

よって \(\mathrm{det}\,A=ad-bc=0\) のとき、\(A^{-1}\) は存在しない。

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